| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-017 (Poster presentation)
利根川流域のRuLIS※モニタリング調査において5年ごとに取得されている定点植生データを用いて休耕・放棄が水田生態系における植物群落の多様性に与える影響について解析した。3時期(2002、2007、2012)を通して不作付け水田であった222地点を対象にTWINSPANにより群落タイプ決定し、それら植物群落の推移を解析した。
その結果、植物群落は1)コナギ・アゼナなどを指標種とする調整水田型群落、2)メヒシバ・イヌタデ・コゴメガヤツリなどを指標種とする休耕田型群落、3)ヨシ・セイタカアワダチソウなどを指標種とする放棄水田型群落、4)カラスウリ・カナムグラ・アズマネザサなどを指標種とする長期放棄型群落に区分された(図4)。群落タイプの推移は、2002-2007年については動的平衡状態を保持しているが、2007-2012年では放棄水田型群落から長期放棄型群落への遷移が進行している事が明らかになった。この群落タイプの推移は復田コストが跳ね上がり、将来の食料生産ポテンシャルを低下させるとともに、農業生態系に成立する二次的自然の生物多様性の低下を招いていることが明らかになった。
※ Rural Landscape Information Systemの略で、農環研が開発した農村地域における生物多様性保全のための調査・情報システム