| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-018 (Poster presentation)

北海道をモデルとした湿地植物データベースの構築と生物多様性評価への利用

*小林春毅, 冨士田裕子(北海道大学・FSC植物園), 鈴木透(酪農大・環境共生), イ・アヨン, 新美恵理子(北海道大学・農学院), 高田雅之(法政大学・人間環境学部)

北海道の湿地は、明治以降の農地化や宅地開発によって約70%の面積が消失し、残存する湿地においても乾燥化による面積の縮小や湿地生態系の劣化が危惧されている。このような湿地の変化が湿地植物の多様性に与えた影響を明らかにするために、これまでに公表された湿地に生育する植物を対象とした論文や調査報告書等を可能な限り収集し、北海道の湿地植物データベース(以下、DB)を構築した。構築したDBには、1930年代から現在までに発行された143文献から、90湿地(現存湿地の約60%)、約10万レコードの植物相や植生調査の情報が含まれる。

構築したDBを利用した研究の一つとして、現在の北海道の湿地植生の類型化とその指標種の選定を行なった。これは、DBから1980年代以降の50湿地、3,352調査区の植生調査の情報を抽出しクラスター解析を行ったもので、北海道の湿地植生はミズゴケ・モウセンゴケなどを指標とする高層湿原植生とヌマガヤ・ヤチヤナギなどを指標とする中間湿原植生、ヨシ・イワノガリヤスなどを指標とする低層湿原植生の3つのクラスに大別され、各クラスは特徴的な植生と種群をもつ複数の群落タイプにそれぞれ分けられた。この類型化の結果は、イらが別に発表する湿地の健全度評価手法の検討に利用した。

発表では、構築したDBを利用した種レベルでの湿地の生物多様性評価に、湿地の機能を反映すると考えられる群落タイプをその評価に加えることで、どのような湿地の生物多様性評価となるのかについて考察を行う。


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