| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-023 (Poster presentation)

食性幅に基づく植食性昆虫多様性の推定

*阿部永(千葉大学大学院理学研究科), 福島宏晟(千葉大学理学部), 阿部智和(東京大学), Rajesh Kumar(Central Muga Eri Research and Training Institute), Martin Volf(チェコ科学アカデミー), Martin Libra(チェコ科学アカデミー), 鎌田直人(東京大学), Vojtech Novotny(チェコ科学アカデミー), 村上正志(千葉大学大学院理学研究科)

低緯度地域で生物の多様性が高くなることは広く知られている。このようなパターンは植食者昆虫においても例外ではない。緯度に沿った植食性昆虫の多様性の変化を説明する要因の1つに、「植食者昆虫の食性幅が温帯でより広い」とする仮説がある。本研究では、植物の多様性、植食者の食性幅、さらに、植食者昆虫に対する寄生蜂のホスト利用幅という3者の関係から、植食者昆虫の多様性の維持機構として食性幅を確認することを目的とする。

2014年に北海道大学苫小牧研究林内に設置された林冠クレーンを利用して、植食性昆虫のサンプリングを行った。0.1haの調査プロット内にある胸高直径5cm以上の全樹木個体を対象とした。結果、19種132個体の植物から4034個体の鱗翅目幼虫が採集された。これらの幼虫を飼育し、成虫もしくは羽化した寄生蜂をサンプリングする。

現在も飼育を継続中であるが、これまでに、93種2390個体の鱗翅目を、また、主に3科(ヒメバチ科、コマユバチ科、コバチ上科)から173形態種、719個体の寄生蜂が得られている。本研究では、これと全く同じデザインでのサンプリングを、チェコおよびパプアニューギニアで実施している。本計画はこれらの結果を比較することで上記仮説を検証することを目的としている。今回は、苫小牧での結果を報告する。


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