| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-037 (Poster presentation)
本研究は,阿蘇地域における食糞性コガネムシの種構成の解明を目的として実施し,次のような結果を得た.(1)半自然草地のうち2次林に隣接する草地と隣接していない草地における食糞性コガネムシの最優占種を調査したところ,両調査地ともカドマルエンマコガネOnthophagus(Strandius) lenziiであり,本種が同地域における主要な牛糞分解者であると考えられた. (2)両調査地における食糞性コガネムシの個体数の山は,春と秋の2山型であり,この山は,最優占種であるカドマルエンマコガネによるものであった.(3)2次林が隣接する草地と隣接しない草地では,食糞性コガネムシの種の構成が一部異なっており,2次林に隣接する草地では,林内を好む種が多く得られた.(4)希少種としては,アカマダラセンチコガネOchodaeus maculatusなど,計4種が得られ, これら4種は,2次林内や2次林の隣接した草地で多く得られた.(5)本調査結果と過去の報告とを比較すると,本調査から同地域の草原から新たに3種の食糞性コガネムシの生息が確認された.しかしながら,ダイコクコガネCopris(Copris) ochusやツヤマグソコガネAphodius(Aphodius) impunctatusなど一部の希少種については生息が確認できなかった.本調査結果から,草原環境の変化は,食糞性コガネムシにどのような影響を及ぼしているのか,また,希少な食糞性コガネムシの生息環境としての2次林はどのような影響を及ぼしているのかについて考察する.