| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-045 (Poster presentation)

スギ林と広葉樹林の土壌ブロック交換が中型土壌動物群集に与える影響

*長谷川元洋,岡部貴美子(森林総合研究所)

これまで、土壌中のトビムシ、ダニ群集の住み場所の選好性は、土壌由来の要因か地上部環境の要因かを区別できなかった。この研究では、針葉樹人工林と広葉樹林の落葉層および土壌層を土壌ブロックとして採取し、それを互いの森林間で入れ替える手法で、その問題点を克服した。分散能力は、その分類群の冷凍殺虫した土壌への定着速度で判断した。茨城県北部のスギ林と落葉広葉樹林が隣接するサイトを3箇所設定した。それぞれの森林から合計80個、土壌ブロック(125cm3)を採取した。土壌ブロックのうち、半分は-20度で凍結殺虫した。残りの半分は非撹乱の状態に保った。また半分は同じ森林に戻し、残りは他方の森林に移動させた。設置後1週間後および1ヶ月後に土壌ブロックを回収し、土壌動物を抽出した。以上から、凍結殺虫の有無、土壌ブロックの属性(スギ林土壌、広葉樹林土壌)、設置した林分の属性(スギ林、広葉樹林)の処理をもつ、合計8種類の土壌ブロックを得る。各処理のトビムシ、ササラダニ個体数に与える効果をGLMMを用いて解析した。

設置1週間後、トビムシと土壌ダニ各亜目の個体数は凍結殺虫したコアで少なかった。1ヶ月後でも、トビムシ、ササラダニの個体数は、凍結殺虫したコアで少なかった。この効果は,1週間後のブロックでより顕著であった。凍結殺虫の効果はトビムシよりもササラダニで大きく、1ヶ月後でもトビムシの凍結殺虫したブロックの個体数は、コントロールの84〜110%であるのに対し、ササラダニでは、32〜65%であった。定着の速度から、トビムシはササラダニと比して、よりパイオニア的性質を持っており、空いた住み場所への移動速度が速いと考えられた。トビムシ群集の種組成への各要因の影響についても解析を行う。


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