| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-056 (Poster presentation)

横浜市内で確認した神奈川県RDB記載の止水性水生昆虫の生息状況

*佐野真吾, 小堀洋美, 吉崎真司 東京都市大学

止水性水生昆虫は、近年日本全国で減少しており、環境省の第4次レッドリスト(2012)では新たに50種類以上が絶滅危惧種に追加された。また、日本の生物多様性総合評価(2012)や生物多様性国家戦略(2012-2020)では、止水性水生昆虫の生息地である溜池や水田など止水域生態系の保全の必要性が指摘されている。神奈川県における止水性水生昆虫の現状は神奈川RL (2006)や神奈川昆虫誌(2004)などで報告されているが、横浜市における記述は極めて少なく、詳細な調査がされてこなかった。本研究では、横浜市における止水性水生昆虫の保全を検討する前段階として、止水性水生昆虫相の特徴を明らかにすることを目的とした。対象生物は水生甲虫類および水生半翅類とした。横浜市内にある公園の池、調整池、ビオトープ、湿地、水溜り、湿地を含む止水域207箇所で対象生物の採集をおこなった。なお、本調査は定性的な調査であり、1調査箇所の調査回数や調査時間は、各水辺の規模や環境、洩網可能な範囲などにより適宜変えた。本調査では54種の止水性水生昆虫が確認された。環境省RL(2012)および神奈川県RL(2006)において絶滅危惧種および準絶滅危惧種の判定を受けている種は環境省(2012)では7種、神奈川(2006)では15種が確認された。また、確認地点が207箇所のうち30箇所以下であった種は48種であり、本調査で確認された約90%の種は危機的状況であることが判明した。なお、マダラコガシラミズムシHaliplus sharpi (11箇所で確認)、コガムシHydrochara affinis(33箇所で確認)、トゲバゴマフガムシBerosus lewisius(25箇所で確認)は、いずれも鶴見川・境川流域を中心とした比較的大きな河川の近隣にある水田に多く生息する特徴が明らかになった。


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