| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-067 (Poster presentation)
東北地方ではツキノワグマの個体群は大きく連続しているが、遺伝的な構造化が進んでいることが示唆されている。本研究ではツキノワグマの遺伝構造が形成される要因を景観生態学的手法を用いて検討する。
宮城県および山形県北部から青森県南部にかけて捕獲されたツキノワグマの肉片およびヘアートラップで回収されたツキノワグマの体毛をサンプルとし、235個体分のマイクロサテライトDNA16遺伝子座の遺伝子座を決定した。Bray-Curtis指数によって計算した個体間の遺伝的距離を用いて、距離による隔離の効果(Isolation-by-distance)、障壁による隔離の効果(Isolation-by-barrier)、抵抗による隔離の効果(Isolation-by-resistance)の影響を検討した。
個体間の直線距離が大きくなるほど遺伝的距離も大きくなり、距離による隔離の効果が確認された。障壁による隔離の効果は、2個体間の標高差が大きいほど遺伝的距離が大きく、また、個体間の平均標高が高いと遺伝的距離が小さかった。抵抗による隔離の効果は、耕作地・住宅地・開放水系が個体間の遺伝的交流に対する抵抗となっていることが明らかになった。