| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-089 (Poster presentation)
オオイタサンショウウオ(Hynobius dunni Tago,1931)は,水田やため池などに生息する止水性のサンショウウオである。本種は,里山の開発や放棄などによって絶滅の危機に瀕している。オオイタサンショウウオの保全活動を進めていく上で,本種の生活史,特に繁殖生態の解明は,本種の個体群維持やビオトープづくりなどに大きく貢献できるものと思われる。オオイタサンショウウオの産卵を誘引または制限する要因については諸説ある。真柴(1969)は日最低気温が高いことと降雨がオオイタサンショウウオの産卵を誘発するのではないかと推察し,それについて佐藤(1981)は降雨と高湿度の可能性を述べており,永野・松永(2014)は産卵嚢数と8つの環境要因を重回帰分析にかけ,日最低気温が低い時と降水量が多い時に本種は産卵行動を起こすことを示した。しかし,真柴(1969)と佐藤(1981)は観察・経験による推察の域を出ず,また,永野・松永(2014)の解析も1年間・1地点のデータのみである。そこで,演者らは,オオイタサンショウウオの産卵を誘発する要因の更なる解明を目的に,永野・松永(2014)と同地点において更に1年間の調査を行い,また,調査地点も3地点に増やし調査を行った。本発表では,その産卵データと各地点の平均水温,平均地温,最低水温,最低地温,最高水温,最低地温,降水量,水深を重回帰分析により解析した結果に基づき,オオイタサンショウウオの繁殖活動に影響を与える環境要因について考察する。