| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-206 (Poster presentation)

沖縄島における外来魚・純淡水魚の分布

*嶋津信彦

沖縄島の外来魚は、多くが熱帯・亜熱帯域を原産とし、20種以上が定着している。一方で固有種アオバラヨシノボリRhinogobius sp. BBをはじめ在来の可能性がある純淡水魚は、7種に限られ、いずれも沖縄県の絶滅危惧種に指定されている。本研究では、文献・現地調査によりこれらの分布記録を整理した。

文献調査では、地域誌などから外来魚・純淡水魚の分布記録を抽出した。現地調査では、2003–2014年に326水系延べ流程400 km以上を踏査し、潜水目視やタモ網などでの採集により分布を確認した。

外来魚の分布は、沖縄島の南部に多く、北東部で少なかった。カワスズメ属Oreochromis spp.、グッピーPoecilia reticulataおよびコイCyprinus carpioは、現地調査では順に161、132および58 水系で確認された。セルフィンプレコ属Pterygoplichthys spp.やジルティラピアTilapia zilliiなどは、人口密度の高い南部に分布が集中していた。一方、ダニオ属Danio spp.やコウタイChanna asiaticaなどは、観賞魚であるが人口密度の低い北部でのみ記録された。ソードテールXiphophorus helleriiは、近年の分布拡大が最も著しかった。絶滅危惧純淡水魚の分布は、北部に多かった。外来魚による在来魚の駆逐も報告されており、島内および他の南西諸島における外来魚の分布拡大を防ぐため、少なくとも定着が認められる分類群の取扱いを条例で早急に規制する必要があると考えられる。


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