| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-210 (Poster presentation)

水田水域における生息地間の接続性を考慮した外来魚の侵入リスク評価

*角田裕志(岐阜大・野生動物セ),満尾世志人(新潟大・超域),大平充(農工大・農)

タイリクバラタナゴ(Rhodeus ocellatus ocellatus)は在来タナゴ類との交雑や競争をもたらす恐れがあるとして外来生物法において要注意外来生物に指定されている。外来肉食魚の駆除後に本種の二次的侵入と大繁殖が起こった事例も知られており、侵入抑制は本種の防除対策上の課題の一つである。本研究では、農業水路と農業用溜池のそれぞれにおいてタイリクバラタナゴの生息地条件を明らかにして、農業水系における本種の侵入確率を把握すると共に、在来タナゴ類の生息状況を踏まえた解析によって、侵入リスクを評価することを目的とした。岩手県南部の水田地帯を流れる農業水路と同地域の溜池48箇所において魚類採捕調査および環境調査を実施した。一般化線形混合モデルを用いて、農業水路および溜池の環境特性とタイリクバラタナゴの個体数指標との関連性を解析したところ、農業水路では底質、植生被度、水路の改修工法の違いが、溜池では水質と植生被度がそれぞれ主要な関連要因であると考えられた。また、灌漑の有無による水量変化もタイリクバラタナゴの個体数指標に関連すると考えられた。これらの結果を用いて、農業水路とその周辺の溜池におけるタイリクバラタナゴの出現確率を評価した。また、同じ水系内での在来タナゴ類の出現記録を加味し、タイリクバラタナゴの侵入リスクの評価を試みた。


日本生態学会