| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-211 (Poster presentation)

長野県のジャコウアゲハ生息地におけるホソオチョウの発生と駆除

須賀丈*, 大塚孝一(長野県環境保全研), 市村敏文(長野県林務部), 堀田昌伸(長野県環境保全研)

要注意外来生物ホソオチョウSericinus montela(アゲハチョウ科)は、在来のジャコウアゲハAtrophaneura alcinousと食草(ウマノスズクサAristolochia contorta)をめぐって競合のおそれがあるとされている。このホソオチョウの発生を、2012年8月に長野市で、2013年8月に千曲市で確認した。個体群の定着事例としては、前者が長野県で初の確認と思われる。発生地はともにジャコウアゲハの生息地で、競合が懸念された。このため双方の発生地で、発生期間中繰り返しホソオチョウ(卵~成虫)の駆除をおこなった。

長野市の発生地では、2012年9月までに卵~成虫計540個体を駆除した。2013年4月には同じ場所で春型成虫の発生を確認し、5月までに卵~成虫計76個体を駆除した。ここでは2013年7月以降と2014年にはホソオチョウの発生がなかった。千曲市の発生地では、2013年9月までに卵~成虫計1268個体、2014年4月~6月に卵~成虫計232個体、7月~8月上旬に卵~成虫計235個体を駆除した。ここでも以降ホソオチョウの発生がなかった。

ホソオチョウの春型成虫の発生は、春のウマノスズクサの展葉よりも少し早い傾向があった。この発生期のずれと駆除活動により、ホソオチョウによる産卵を抑制できたと考えられる。


日本生態学会