| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-212 (Poster presentation)
[背景・目的]宮城県の水田転作を中心とする大豆圃場では、特定外来生物アレチウリの侵入により甚大な被害が生じる場合がある。アレチウリは河川敷や堤防、農道や水路法面での発生が多く、これらが圃場侵入の主要な経路とみられる。そこで、アレチウリの圃場への侵入可能性が高い地域の特定と、侵入を防ぐための周辺管理方策を探るため、1)アレチウリ分布の地理的特徴、2)侵入圃場と河川・水路と群落の空間配置、そして3)蔓延河川堤防における除草管理が子実形成に及ぼす影響について検討した。
[方法]1)2009~2014年、宮城県内の水田地帯全域を対象とした巡回調査において、アレチウリの分布情報を収集し、その広域的な空間特性をGIS上で解析した。2)2014年調査でアレチウリの侵入が認められた大豆圃場において、周辺河川・水路の配置とアレチウリ侵入の関係をUAVを用いた空撮により解析した。3)2014年にアレチウリの蔓延が確認された河川・水路のうち、夏季の除草管理(刈払いや除草剤散布)が異なる堤防法面について10月上旬の結実密度(果房数/㎡)を観測した。
[結果・考察]検討の結果、以下のことが明らかとなった。1)アレチウリ群落は河川・水路の湾曲部や接合部、直線的水路では橋梁上流側、そして津波到達地点を含めた平坦部外縁に多い傾向がある。2)水系から大豆圃場への侵入は、近接する幅2mの溝畔や幅3~4mの農道・堤防道路を超え、雑草地が連続する場合には水際から40m離れた圃場まで達する。圃場内では1株で直径15m以上の範囲に蔓を拡散する。3)法面上端部においては、8月下旬に刈払いを行うことで結実密度は低減され、9月上中旬に除草剤を散布することで結実はほとんど無くなる。