| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-217 (Poster presentation)

河川域における外来植物群落の変遷と河道特性の関係

*宮脇成生((株)建設環境研究所), 西廣淳(東邦大・理)

河川域及およびその周辺の氾濫原は、外来植物の侵入が著しい生態系の一つである。日本の河川域においてもすでに広範囲に外来植物が侵入している。

本研究では、利根川水系渡良瀬川の国土交通省が管理する区間(河川の上下流方向で約42km)を対象とし、2011年における外来種が優占する植物群落(外来植物群落)の侵入の有無と、過去の植生(2006年時点)および河床勾配との関係を検討した。対象とした外来植物群落は、対象範囲における面積の大きい上位5群落(ハリエンジュ群落、アレチウリ群落、オオブタクサ群落、セイタカアワダチソウ群落、シナダレスズメガヤ群落)である。国土交通省の実施する「河川水辺の国勢調査」の結果を用いて、対象範囲を20m格子で分割し、各格子を1レコードとして解析を行った。対象とする各外来植物群落の侵入の有無を応答変数、過去の分布からの最短距離、水面からの距離、過去の植生タイプ、河床勾配を説明変数として一般化線形モデルによる分析をおこなったところ、いずれの外来植物群落についても共通して、有意に過去の分布範囲からの距離が近い場所ほど侵入されやすかった。また、過去の植生タイプもすべての外来植物群落で有意であり、草本植生が侵入されすい傾向を示した。一方、河床勾配については、外来植物群落により異なる傾向を示した。河床勾配は、河川上流から下流に向けて小さくなる方向性を持った値をとる。したがって、河床勾配が負の効果を示したシナダレスズメガヤについては下流側、セイタカアワダチソウ、オオブタクサについては上流側での新たな侵入が生じやすい傾向が認められた。さらにこれらから予測される影響について議論する。


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