| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-220 (Poster presentation)
近年、外国産のヌマエビ(カワリヌマエビ属の一種(Neocaridina spp.))が国内に侵入し、全国的に拡散している。これらは釣り餌用や観賞用として中国や韓国から輸入されたもので、日本在来亜種のミナミヌマエビとの交雑も報告されるなど、生態系への影響が懸念されている。
静岡県内においてもカワリヌマエビ属の一種が野外で採集されるようになった。在来のミナミヌマエビは西日本が分布域であるため、静岡県内のカワリヌマエビ属の一種は外国由来のものと考えられている。
今回、静岡県内における外来カワリヌマエビ属の一種の侵入状況について報告する。
静岡県西部にある公園内のほとんどの調整池で、カワリヌマエビ属の一種の生息が確認された。これまでの継続した調査では確認されていなかったが、今年度の調査で新たに採集され、個体数も多く見られた。一部の調整池ではフェンスに囲まれていて、道路からも見えない奥まった場所に位置しているにもかかわらず本亜種の生息が確認されたことから、人為的な放逐ではなく、水鳥などに付着して移動してきたものと推測できる。
また、河川内における淡水産ヌマエビ類の種構成を流程ごとに比較すると、上流部においてカワリヌマエビ属の一種の優占率が大きくなった。これは在来のヌマエビ類と生息環境が競合し、影響を及ぼしているものと考えられる。