| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-222 (Poster presentation)

根絶への切り札!奄美大島のマングース探索犬 -その育成、活用、成果-

*後藤 義仁,(奄美マングースバスターズ),橋本 琢磨(自然環境研究センター)

奄美大島におけるマングース防除事業は環境省による第1期防除実施計画の策定からまもなく10年が経過しようとしている。その間、奄美マングースバスターズによる精力的なわな捕獲作業(年間200万わな日以上の捕獲努力量)を継続して行ってきた。その結果、現在では全島でマングースの低密度化が進み、一部の地域では捕獲数がゼロになるなど、マングースの根絶に向けめざましい成果が得られている。さらに、アマミノクロウサギなどの在来固有種に回復傾向が認められるなど、奄美大島の生態系の回復に、マングース防除が大きく貢献していることが示されつつある。しかし、今後全島からの根絶する上では、わなで捕獲がされなくなった地域で根絶確認するためのモニタリング手法、そして、わずかにマングースが残りわなでの捕獲率が低下した地域において、残存するマングースを確実に捕る技術が求められる。そうした課題を解決するための切り札として、奄美マングースバスターズでは、マングース探索犬を活用している。奄美大島のマングース探索犬は2007年から訓練を開始し、現在では9頭が育成、運用されている。奄美大島の探索犬には生体探索犬と糞探索犬の2タイプが存在する。生体探索犬は探知したマングースを追尾し、巣穴などに個体を追い込む事で、マングースを捕獲することに貢献している。探知から捕獲までの一連の作業に関する手法の進歩によって、生体探索犬の探知による捕獲は、防除作業における大きな武器となりつつある。一方の糞探索犬は、捕獲がされなくなった地域での根絶確認作業に従事することを前提として、現在育成を進めている。本発表ではマングース探索犬の育成過程や探知個体捕獲の技術等について、その防除における成果も含めて示す。


日本生態学会