| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-223 (Poster presentation)
外来種の侵入や定着が、在来の生態系や人の活動に深刻な影響を与える事例が後を絶たない。一方で、それらの侵入経路や侵入後の分散の過程や速度を実際に追跡した例は少なく、防疫学・保全学的な観点から実際の観察事例が求められている。陸産貝類においても外来種の確認例が増加しており、日本国内だけでも多数の報告がある。それらの中には、ヒトの感染症を引き起こす病原体を媒介するものや、農業へ多大な被害を及ぼすものなどもあり、実際に大きな問題として取り上げられることも少なくない。2006年、ヨーロッパ原産の体長10−20cmにもなる大型ナメクジであるマダラコウラナメクジが、茨城県へ移入したことが確認された。マダラコウラナメクジはその後、長野県、福島県でも発見され、2012年には北海道においても確認されるに至っており、急速な分布拡大とそれに伴う在来の生態系や農業などへの影響が懸念されている。このように侵入と分布拡大が今まさに起きている外来種の動態を追跡する機会は多くない。本発表では、この機会を利用して外来種の分布拡大の動態を追跡する新しいプロジェクトを提案し、それによって得られるであろう新しい知見とその価値について議論する。