| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS01 (Poster presentation)

変形菌の研究 変形体の「自他」を見分ける力

*増井真那 (東京都立小石川中等教育学校1年)

5才の頃から変形菌が好きで、自分で採集した野生種の変形体の飼育を続けてきた。6才から変形体の動きと考えについての実験を続ける中で、「変形体の自他を見分ける力」というテーマを発見した。

自他の境を知るために、5つの場合に分けて個体どうしを出合わせる実験を行い、比較分析をした。さらに自他の判断のカギを探すために、変形体と変形体を覆う粘液鞘を出合わせる実験を行った。実験材料を得るために、ほとんど例がないというとても困難な野生種の多種長期人工培養と継代培養を成功させた。

実験結果から、変形体は出合う相手によって行動が違うということがわかった。この行動は、粘液鞘と出合わせても近いパターンを示した。

結論として、変形体には「自他」があり、それを見分ける力を持ち、変形体の「自他」は自分と他人で二分されるのではなく、関係の「近い/遠い」があると言える。

今後は変形体が持つ独特な自他の判断の仕組みを解明したい。粘液鞘の質量分析と個体の行動観察を関係づけて、変形体の自他が環境の影響で変化するという仮説、属/種によって判断の仕組みが異なるという仮説を検証していきたい。


日本生態学会