| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PC2-HS09 (Poster presentation)

淡水産小型エビ類が夜行性である理由を探る ―太陽光線が行動に与える影響―

*廣瀬太雅, 石井学, 上野裕之 (佼成学園高等学校)

生態の詳細があまり明らかにされてないスジエビに興味を持ち、その中でもなぜ夜行性なのかという点に疑問を抱いた。そこで昼夜の区別を判断しているしくみを太陽光に含まれる可視光線や紫外線に着目して調べることにした。これらの光線への反応を調べるための検証実験として蛍光灯やブラックライトを用いた。実験ではそれぞれの光線を照射した場合、および紫外線遮断フィルムを用いて紫外線と可視光線を区別して照射した場合での行動を観察した。

結果は蛍光灯と比べ紫外線を多く含むブラックライトを照射した時の方が明らかに避ける行動をとり、一方で、紫外線を遮断し可視光線のみを照射すると暗条件と同じ行動を示した。この行動は、複眼や触角を機能させないように施した個体でも見られた。以上のことから、スジエビは負の光走性を示すが、可視光線は走性に無関係で、紫外線を複眼と触角以外の器官で受容して選択的に避け、紫外線があたると回避行動をとることがわかった。さらに、72時間における行動観察から、紫外線が概日リズムに関与している可能性を示唆する結果も得ている。なお、紫外線を受容している器官については現在特定を急いでいる。


日本生態学会