| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PC2-HS14 (Poster presentation)
高崎山自然動物園のニホンザルは、サツマイモの餌撒きの前に、他の時間帯には聞かれない独特な鳴き声を発する。私たちは、この鳴き声が何の目的で発せられているかという疑問を持ち、その声を「イモコール」と呼んで、詳しく調査することにした。録音機器を用いてサルの鳴き声を収集し、音声スペクトログラムに表して分析を行った。その結果、イモコールには他の鳴き声とは異なる特徴が確認でき、1個体の複数のイモコールを詳細に分析したところ、3種類に分類することができた。それぞれの音声の長さと周波数を計測し、モデル化することで3つの音声パターンを作成して、波形の形状からそれぞれを「尖り形」「山形」「平坦形」と名付けた。次に、各個体の3種類のイモコールの頻度を調査すると、「尖り形」が特定の時間に集中して鳴かれていたことから、この鳴き声が重要な情報を持つと考えた。さらに、職員の餌撒き前の準備動作に着目し、実験的に動作の時刻を早めて、「尖り形」が鳴かれる要因を探った。その結果、職員の動作の後「尖り形」イモコールが発せられていることがわかり、職員の餌撒き準備動作がイモコールを引き起こす要因だと考えた。