| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(口頭発表) F3-35 (Oral presentation)

キーストーン種はどのような生態系で現れやすいのか

*今井愛理(龍谷大・理工), 高嶋あやか(龍谷大・理工), 近藤倫生(龍谷大・理工)

キーストーン種とは、生物量の割にその個体群密度の減少や増加が、生物群集の種構成に大きな影響を与える種の事である。キーストーン種がどのような生態系で現れやすいか推定することができれば、優先的に保護すべき生物種を絞るなどして、効率的に生態系を保全することに役立つだろう。しかし、過去の研究からは、どのような生態系でキーストーン種が現れやすいかよく分かっていない。生態系には、非常に複雑な生物相互作用のネットワークが存在するため、どの生物が他の生物に影響を及ぼしているか簡単には評価できないのがその理由の一つである。

そこで、世界の20の海洋における食物網データに基づいて構築した数理モデルを解析して、キーストーン種の出現しやすさと生態系構造の間の関係を調べた。キーストーン種が現れやすい生態系の特徴を予測することが主な目的である。食物網ごとにキーストーン種の生じやすさを数値化した「食物網レベルのキーストーン度」を表す指標を作った。また、食物網構造の特徴を示す複数の指標を調べた。これらの両者の間の関係を調べて得られた結果を中心に報告し、キーストーン種が生じやすい生態系について論ずる。


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