| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(口頭発表) G2-18 (Oral presentation)
一般にカワスズメ科魚類のオスはメスよりも体サイズが大きく、攻撃的である。しかし、性役割が逆転し、協同繁殖を行うJulidochromis reganiでは、メスがオスよりも体サイズが大きい。本研究では、飼育下のJ. reganiを対象に、同性間の闘争においてメスがオスより高い攻撃性を示すという予測を検証した。本研究の結果から、この予測は支持された。大きい個体から小さい個体への攻撃行動に関して、体サイズ差と性別は有意な影響を与えていなかった。一方で、小さい個体から大きい個体への攻撃に関しては、体サイズ差が小さいほど、オスとメスは攻撃をより多く行い、オスよりもメスの方がより攻撃行動を行っていた。また、体サイズ差が10mm以内の個体間で双方向の攻撃行動であるマウスレスリングが生じ、メスの方がオスよりもマウスレスリングをより高頻度で行っていた。これらのことから、メスの攻撃性の高さと協同繁殖種・性役割の逆転の関連が示唆された。