| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-015 (Poster presentation)
河川砂礫堆上には立地条件(比高や土壌など)に応じて様々な植物群落が成立しており,代表的な水辺植物について,種特性(乾燥・過湿ストレスなど)が立地条件と対応することが知られている。しかし,群落のすべての構成種の種特性と立地条件が対応しているのかについてはよくわかっていない。本研究では,河川砂礫堆上の植物群落の組成と構成種の葉の形質の関係性について検討を行った。葉の形質の測定項目は湿重量・乾重量・葉面積で,これらからLeaf Mass Area(LMA,葉の厚さ),含水量を算出した。
植生調査の結果,湿地(過湿),水際(礫質・地下水位が高い),高水敷(礫質・乾燥),細粒物質の堆積した立地(砂質・中庸)といった立地環境によって種組成が違っていた。葉の形質(厚さ・面積)と水分量の関係では,乾燥立地に出現する種は葉が厚い・小さい・含水率が低いという傾向にあり,地下水位の高い・中庸な立地に出現する種は葉が薄く・大きい・含水量が高いという傾向にあった。また,C3植物とC4植物では傾向が異なっていた。
河川砂礫堆上に生育する植物は,立地条件に対応して葉の形質を変化させる,また,複数の立地に出現する種では,植物の葉の形質(厚さ・大きさ)を変化させる可能性が示された。