| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-017 (Poster presentation)
春田浜には、隆起サンゴ礁上植生・コウライシバ群落から低層湿地につながる成帯構造が見られる植生があるが、その遷移過程を明らかにするために、1999年に菊池らが調査した場所を2014年に再測し、15年間の植生変化を調べた。
海岸線に平行な200mの基準線を引き、その0m、50m、100m、150m、200m地点から垂直に海側50m、陸側130mのライン5本をとり、各ライン沿いに1m間隔に1m×1mコドラートをとり、中に出現した植物の被度と高さを測定した。また、景観で群落を区分して調査区全体の植生図を作った。
植生図では、海側のイソマツ群落に大きな変化はなかったがコウライシバ群落は内陸側の一部がハイキビ群落に変わり、ヒトモトススキ群落が内陸側で乾燥地を好むダンチクに大きく侵入された。
5本のラインの最先端部分は、ダンチクでは、2本で15年前より後退し3本で海側に進行していた。同じく乾燥地を好むハチジョウススキは海側へ進行していた。一方、湿地性のヒトモトススキの範囲は15年前とほぼ同じか若干後退していた。
全コドラートを8群落(イソマツ-イソフサギ、コウライシバ、ヒトモトススキA〈被度80%未満〉、B〈被度80%以上〉、ダンチク、ハチジョウススキ、混交、裸地)に区分した。イソマツ-イソフサギのコドラートは一部が裸地などに変わり減少傾向にあった。ダンチク群落のコドラート数は3本のラインで減少、2本のラインで増加し、全体では増加していた。ヒトモトススキA群落→ヒトモトススキB群落→ダンチク群落という変化が多かった。
地表高は、測定誤差を考えても内陸部で15年前よりも高くなったと考えられた。これらから、春田浜の低層湿地の地表高が高くなることによって乾燥化が進み、より内陸的な植生へ変化したと考えられる。