| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-067 (Poster presentation)
藻類は、外敵から身を守るために、形態変化をすることが知られている。形態変化は、草食動物プランクトンからの捕食を回避する最も重要な防御的戦略の一つであると考えられている。例えば、集合体を形成することで、草食動物プランクトンによる捕食を困難にすることである。単細胞藻類と集合体藻類の形態変化には、草食動物プランクトンの密度に依存した関係がある。草食動物プランクトンの密度が低い場合には、集合体藻類から単細胞藻類へ変化し、高い場合には、単細胞藻類から集合体藻類への変化の割合が大きい。先駆的な研究として、Vos et al.(2004)やそれを発展させたSerizawa et al.(2008)のモデルが知られているが、不安定な平衡点のまわりに現れる周期的な振動によって、藻類と草食動物プランクトンが絶滅を回避して共存しやすくなる。さらに、Serizawa et al. (2008)の拡散を含んだモデルでは、不安定な平衡点の近くから複雑な空間パターンを生成することが示されている。本研究では、このような単細胞藻類と集合体藻類の間の形態変化に焦点を当て、草食動物プランクトンの捕食により誘導された、藻類ブルームによって形成される空間パターンとその安定性を考察する。特に、先行研究を含むいくつかのモデルに対して、パラメータや初期条件を変えると、どのような空間パターンが現れるのか考察し、その性質を調べる。