| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-171 (Poster presentation)

琉球諸島におけるリュウキュウマツ林の外生菌根菌群集

*伊藤光沙(東大院・新領域), 寺嶋芳江(琉大・熱生研), 奈良一秀(東大院・新領域)

リュウキュウマツ(Pinus luchuensis Mayr)は、琉球諸島に自然に分布する唯一のマツ科の樹木である。台風の多い琉球諸島では古くから防潮・防砂林として利用されており、琉球諸島で最も親しまれている樹木の一つであるといえる。しかし、近年マツ材線虫病の被害が深刻化してきている。リュウキュウマツを含むマツ科の樹木は外生菌根菌(以下, 菌根菌)と共生しており、光合成産物の一部を菌根菌に提供する代わりに、水分や無機塩類を菌根菌から受け取っている。そのため、リュウキュウマツ林が維持されるためには、適合する菌根菌の存在が非常に重要であるといえる。だが、残念ながらリュウキュウマツと共生する菌根菌に関する知見は未だ乏しい。そこで、本研究ではリュウキュウマツ林の自生分布域を対象に、菌根菌の群集構造を明らかにすることを目的とする。各島での群集構造を明らかにした上で、島ごとに菌根菌群集がどの程度異なるのか明らかにしていく。

サンプリングは2015年7~9月に奄美大島、沖縄本島、西表島、石垣島において実施した。調査プロット(約1ha)を各島に設置し、それぞれのプロットにおいて成木近くから菌根を含む土壌コアを採取した。実生を発見できた場合はそれらも採取した。土壌コアから取り出した成木の菌根及び実生の菌根を実体顕微鏡下で形態ごとに類別し、各3反復をDNA抽出サンプルとした。rDNAのITS領域をPCR法により増幅し、 得られた塩基配列を97%以上の相同性でクラスタリングすることでOTUを作成した。成木の菌根ではRussula sp.1が最も多く出現し、次にCenococcumが多く出現した。実生の菌根でもRussula sp.1が最も多く出現した。


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