| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-182 (Poster presentation)

韓国白頭大幹における環境変動に応じた歩行虫群集の変化

*Yong Hwan Park(神戸大, 人間発達環境), Tea Woong Jang(江原大, 山林環境保護), Jong Kuk Kim(江原大, 山林環境保護), Hee Mun Chae(江原大, 山林環境保護), Yasuoki Takami(神戸大, 人間発達環境)

地球環境変動の影響を理解するのは、地球環境と生物多様性の保全における重要な課題である。地球温暖化のような広域の気候変動は、生物種の組成や生態系の機能などに急速な変化をもたらしうる。一方、微気候は地球表面の局所的な地域で測定した気候条件であり、生物種の生息地選択やその他の活動の指標となりうる。これまでは、広域での平均的な環境変動が生物相に及ぼす影響と、局所的な環境変動による影響は、区別しないか、それぞれ独立な研究として扱われてきたが、それらが生物群集の変動にそれぞれどのように寄与しているかについては、未だ十分に理解されていない。

オサムシ科は飛行能力が失われた種が多く、移動分散能力が低い。よって特定の地域の環境に影響を受けやすいため、指標生物として注目されている。温度に対する感受性が高いため、地球温暖化の影響を早期に検出可能な昆虫群としても知られている。また、生息する山地は、低地に比べて生息環境が高度と傾斜に応じて急激に変化するため、狭い範囲の中で特定の環境に適応した生物相が現れる特徴がある。そこで本研究では、韓国の香爐峰、五台山、太白山のそれぞれ環境が異なる3地点(計9地点)において、5年間にわたりオサムシ科群集と微気候の調査を行った。得られたデータを元に、広域の気候変動と局所的な微気候の変動がオサムシ群集に及ぼす影響を、分離して解析することを試みた。結果、広域の気候変動と局所的な気候変動は共にオサムシ科群集の変動を説明する要因として重要であり、スケール横断的な解析の重要性が示された。


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