| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-200 (Poster presentation)
今日、世界人口の半数以上が都市に住んでおり、人口流入による急速な人工地増加が生物の生息地減少をもたらしている。また、人口1000万人以上の都市圏であるメガシティの半数以上がアジアに存在しており、今後もメガシティの数はアジアを中心に増えると予測されている。
事実、モンスーンアジアにおいて人工地として開発されてきた平野部はかつて水田として利用されており生物多様性を涵養してきた。また、都市化による人工地面積増加に伴い水田における植物および植食性昆虫の種数の減少が自身の研究で明らかになった。
近年、群集における種の形質の多次元性を定量化した機能的多様性は、生態系機能を表す指標として注目されている。しかし、実際の群集において都市化がどのように機能的多様性に影響するのかについての研究は限定的である。
そこで本研究では、水田生態系の植物および植食性昆虫を対象に都市化に伴う環境変化が機能的多様性に与える影響を評価することを目的とした。日本のメガシティのひとつである兵庫県阪神地域において、里山域から都市域にかけての水田20地点を調査地した。また、調査地ごとに半径1km内の1950年から2014年までの土地利用変化を定量化した。
調査地周辺の都市化に環境の変化が、種子分散・開花高・生活史などの植物の機能群多様性を減少させているのか。また、植食性昆虫においても体サイズ・食草などの機能群多様性が減少傾向にあるのかについて議論する。