| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-201 (Poster presentation)
近年、都市における緑地が減少し、その影響が懸念されるとともに、緑地管理にあたって人間中心から野生生物との共生へと姿勢が変化する傾向にある。そこで当研究では、日本人に馴染みの深い鳴く虫を用いて都心部のエコロジカルネットワークを調査した。市民が研究のプロセスに関わる市民科学を参考にして簡易的な調査を行うことで、鳴く虫の生息に適した都市環境を解明することを目的とした。
2014年度、当研究グループでは千代田区に位置する12の小緑地を対象として、セミ類の発生状況調査と昆虫の鳴き声に基づく鳴く虫の生息調査を実施していた。この調査を参考として、2015年度には新宿御苑およびその周辺の11の小緑地を対象として調査を行なった。
調査内容としては、新宿区・渋谷区に位置する小緑地においてセミ類の発生状況調査および鳴く虫調査を実施した。セミ類の発生状況調査では、セミ幼虫が地中から脱出する際に形成する地表面の脱出痕の計数、そして抜け殻数の計数および種の同定を行った。また、鳴く虫調査では、昆虫の鳴き声を聴いて同定可能な昆虫の種を記録した。
調査対象地とした公園では、1公園を除き全ての公園においてカネタタキの生息が確認されたが、他の種においては公園間で生息種の多様性に違いがみられた。
この結果と現在植栽されている植栽植物の関係について調べ、都心部のエコロジカルネットワークのあり方について考察した。