| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-205 (Poster presentation)
我が国において、かつて人々が作り出し、維持されていた平地の二次草地は多様な生物にとって重要な生息地として機能してきた。しかし、市街地化や管理放棄などの人為的影響を受けて消失または分断化し、現在はパッチ状となって残存しているものが数多く見られる。
このような二次草地の保全に際して、優先順位を付けるために多様な生物の生息地としての二次草地の質を評価する必要がある。二次草地に生息する生物の分布および個体群密度には、二次草地内部の局所要因に加え、生息地の連結性に関わる草地周辺の景観要因も影響を及ぼすと考えられる。よって各要因に対する生物種の反応を調査することは生物多様性保全において重要であると考えられる。しかし、我が国において都市近郊の二次草地内の生物群集と局所および景観の両要因との関係を調査した研究はほとんど存在しない。
そこで本研究では、数多くの種を含み、イネ科の植食者かつ高次捕食者の被食者として二次草地の生態系において重要な役割を果たすと考えられることから、バッタ科昆虫の群集を対象とし、各対象種の分布および個体群密度と二次草地の局所要因(面積・草丈・被度)および景観要因(周辺の市街地面積・森林面積・草地面積)との関係を調査することで、都市近郊に残された二次草地内の生物多様性の保全に役立つ知見を得ることを目的とする。
調査は千葉県柏市・白井市・印西市に見られる分断されたパッチ状の二次草地41ヶ所において、ライントランセクトとGISデータを用いて行った。