| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-144 (Poster presentation)
近年起きた種の絶滅の主要因の一つは、人間活動によるもので、とくに動植物の生息地の破壊によるものと推定されている。絶滅に瀕している種の大部分は直接人間が必要としている種ではないことが多い。よって、生息地は農地や住宅街に変えられ減少している。生物の絶滅を止めることはできないのか、また、生物の絶滅のスピードを遅らせることはできないのか、これらを究明することが要求されている。しかし、生息地破壊が生物の絶滅の要因になっているのか直接確かめることは非常に困難である。そこで本研究では、枯草菌と格子モデルにより生息地破壊が種の絶滅に対する影響を解析する。先行研究においては、バクテリアを寒天培地に接種すると、表面で増殖し、コロニーを形成することが明らかになっている。とくに枯草菌においては、その形態が栄養濃度と寒天濃度に依存し、樹枝状や同心円状といったパターンを形成することがわかっている。寒天濃度を固定し、栄養濃度を高くしていくと、コロニーの枝が次第に太くなり、コロニー内部がほぼ密に詰まっている構造のコロニーが得られる。また、栄養濃度を固定し、寒天濃度を少し下げていくと、コロニーの成長が早くなることがわかっている。本研究では、寒天培地を生息地とし、ここに生息地破壊として障害物(破壊地)を置くことによって枯草菌のパターン形成がどのような影響を受けるかを解析した。実験では破壊地を設置していない培地と破壊地を設置した培地をそれぞれ用意し、枯草菌のパターン形成への影響を明らかにした。発表では、これらの結果を報告する。