| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-145 (Poster presentation)

環境条件が納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)コロニーのパターン形成に与える影響

萩野周平,遠藤敏生,波夛拓哉(兵庫県立大・環境人間), 向坂幸雄(中村学園短大・幼児保育),*中桐斉之(兵庫県立大・環境人間)

生物は集団や個体群を形成するが、納豆菌や枯草菌といったバクテリアもコロニーを形成している。このコロニーは寒天濃度や栄養濃度によって様々な形成のパターンを作ることが分かっており、この形成メカニズムを解明することで、様々な生物集団の分布拡大の過程の解明が可能となると考えられる。

本研究では納豆菌の増殖におけるパターン形成について解析を行う。寒天培地の栄養濃度は菌の増殖率に変化を与え、寒天濃度は菌の動きに影響を与えることが分かっており、通常、寒天培地の栄養濃度が高く寒天濃度の低いときにコロニーが拡大することが分かっている。

その他の環境条件としては、寒天培地の厚みがある。本研究では、この厚みを変化させたときの影響を解析する。予備実験においては、寒天培地の厚い方がコロニーの拡大が抑制されており、これは栄養濃度にも依存していた。また、納豆菌のコロニーは現在までは栄養濃度が高く、寒天濃度が低いときに拡大が抑制されることが知られていたが、その特徴が無くなっていた。

これは、納豆菌のコロニーの広がり方は平面的ではなく立体的にも広がっているためだと考えられる。本研究では納豆菌(Bacillus subtilis natto)を用いて、納豆菌が立体的に増殖拡大を行うときのコロニーのパターン形成を調べるため、培地の深さを変化させて実験を行った。立体的な広がりは平面的な広がりのときと同じように、栄養分の近いほうへと効率の良い運動をしているのではないかと仮説を立て、納豆菌の分裂・成長の様子を観察し、広がり方を考察する。また、納豆菌特有のコロニー形成条件の寒天培地の厚さの影響について

報告する。


日本生態学会