| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-416 (Poster presentation)
アメリカミンクの国内での生息地は長野県、福島県、北海道である。本種は生態系に深刻な影響を与えることから外来種法により特定外外来種に指定されており、積極的な管理が求められている。しかしながら、地域生態系に与える具体的な影響についての情報が少なく、また農業被害の情報も少ないことから、行政による積極的な管理は後回しにされている状況である。福島県の阿武隈川水系の支川で推定された本種の個体数は、1kmあたりで2.7から4.8であり、この値は世界的に見ても高密度であることを示した。また、同所における食性調査の結果は、年間を通してアメリカザリガニやカエル類を優占的に捕食していることを示した。冬季における成熟したカエルの捕食は、カエルの再生産を大きく阻害する要因であり、地域のカエル個体群の消失をもたらす可能性を示唆するものである。付け加えて、これらの調査時には本来この地域に生息するはずの在来種であるホンドイタチがほとんど捕獲できておらず、これはイタチの生息域が縮小していることを示した。これらの調査結果を基にしてアメリカミンクの管理の必要性を検討した。