| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-419 (Poster presentation)

東京港埋立地における外来ハナムグリ類の生態

*岸本圭子(新潟大・CTER), 酒井香(大田区), 太田祐司 (東京港埠頭 (株)), 寺山守(東大・農), 岸本年郎(ふじのくに地球環境史ミュージア ム), 高桑正敏(横浜市)

東京都大田区の埋立地にある東京港野鳥公園では、国内外来種リュウキュウツヤハナムグリの生息が確認されている。園内には、他にも外来の個体群である可能性が指摘されているナミハナムグリとシラホシハナムグリも目撃されている。園内で発生しているこうした国内由来の外来ハナムグリ類が今後分布拡大し、東京都の内陸部へ侵入すれば深刻な生態系改変や遺伝子攪乱の脅威も予想され、侵入の初期段階で状況を正確に把握することが望ましい。そこで、演者らは、本公園で出現が確認されているハナムグリ亜科5種を対象に、2014年から2015年に野外調査を実施し、発生状況・動態・利用資源などを調べた。その結果、リュウキュウツヤハナムグリの成虫は自然分布地と同定度に発生量が多いこと、園内に植栽された複数の植物の花や樹液を摂食していること、幼虫は土壌中に高密度で生息していることが明らかにされた。また、これらの幼虫の密度が高い地点の土壌表層部が大量の糞で埋め尽くされている状態であることがわかり、土壌生態系や落葉の分解に大きな影響を与えている可能性が考えられた。さらに、園内では、リュウキュウツヤハナムグリだけでなく、コアオハナムグリ、ナミハナムグリ、シラホシハナムグリも、東京都区部や近郊に比べて数多く発生していることがわかった。これらのハナムグリ類は花や樹液以外にも特異な資源を利用しており、園内ではハナムグリ類が利用する資源が不足していると推察された。このことから、採餌範囲を広げる個体がますます増えることが予想され、内陸部への分布拡大が懸念される。今後もこれらハナムグリ類の発生状況を継続的にモニタリングしていくことが重要だと考えられた。


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