| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-432 (Poster presentation)
枯死木は炭素や栄養塩をストックし、生物の生息場所になるなど、森林生態系の重要な構成要素である。この研究では、有機物の分解、特に粗大有機物の分解速度を知る上で、分解に伴って放出されるCO2である分解呼吸速度の測定データを用いて、1年間の分解速度をどのように見積もれば良いのかについて考察した。用いるデータは、京都府南部の広葉樹二次林において測定されたコナラとアカマツの粗大有機物の分解呼吸速度である。自動開閉式チャンバーを用いて20分ごとに約2年間測定されたものである。分解呼吸速度は温度の日変化や季節変化に応じて指数関数的に変化した。Q10については、25℃までは2付近の値をとり、25℃以上では値の低減が観察され、Q10と温度との関係を関数化することができた。また、降雨時には呼吸速度が減少する傾向が見られた。降雨日数は年間の約1/3を占めるため、降雨の影響を加味せずに粗大有機物の温度とQ10から年間の分解速度を推定すると、実際の分解速度よりも過大評価することが明らかになった。