| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-443 (Poster presentation)
元素の同位体比は、物質循環過程と生物の関係をつなぐ環境情報として利用することができる。窒素や炭素のように、元素の由来とともに取り込みに際しての代謝過程(同位体分別)を反映する同位体に関しては、その経路を反映する指標として利用することができる。一方、ストロンチウムのように代謝過程の影響を受けにくい元素は、環境の値をそのまま反映するため、場所を示す指標とすることができる。生態学的な研究においては主に前者を用いた研究が盛んであるが、後者も含めた多元素の同位体を用いることで、物質や生物の移動も含めた生態系の動態を研究することができると考えられる。特に、集水域レベルの研究においては、物質循環過程と生物の動態が強くリンクしているため、多元素の同位体指標を用いることで生物間の関係性をより明瞭に調べることができると考えられる。本研究においては、東北太平洋岸域における多数の河川集水域に関して、河川水の微量元素組成およびその同位体組成を明らかにした。それらの値をもとに、陸域由来物質の河口域への影響について調査した。本発表においては、その結果を元に多元素情報を用いた研究の可能性について紹介する。