| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-445 (Poster presentation)

間伐強度の異なるスギ林の表層土壌における放射性セシウムの分布状況:3年間の変化

関根 綾・榎並麻衣#・宇野 亨・田島亮介・伊藤豊彰・菅野均志・高橋 正・*齋藤雅典(東北大・農,#現・新潟県)

福島第一原発事故によって放出された放射性セシウム(rCs)の多くは山間部に降下した。東北大学フィールドセンター尚武沢地区(宮城県大崎市鳴子温泉)のスギ人工林(1983年植林)には間伐強度の異なる試験区(67%間伐:強度間伐区、33%間伐:弱度間伐区、無間伐区)が設定されている。間伐強度の違いやリッター等の分解の進行はスギ林土壌のrCsの動態に影響を及ぼすと考えられる。そこで2011年と2014年に土壌を採取し、3年間のrCsの分布状況の変化を調査した。すなわち、各間伐処理区のO層と表層土壌0-30cmの試料を採取した。O層は形態からスギ葉、草本、枝、広葉樹、その他の画分に分類し、土壌は2011年には0-15cm、15-30cmの2層 、2014年は0-5cm、5-10cm、10-15cm、15-30cmの4層に分け、rCs含量をガンマカウンターで測定した。面積あたりr137Cs量は、2011年には無間伐区(18kBq/m2)が強度、弱度間伐区(34kBq/m2)比べ低い傾向であったが、2014年では43~65kBq/m2といずれの処理においてもrCs量が増加し、間伐強度による差は見られなかった。これは、事故直後にスギ樹冠に保持されていたrCsが3年の間に溶脱し林床に降下し、その結果、間伐による影響が小さくなったためと考えられた。また、3年間でリッター層の面積あたりrCs量は減少し、土壌上層(0-15cm)で増加傾向が認められた。しかし、土壌下層(15-30cm)では明確な増加は認められなかった。


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