| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-452 (Poster presentation)
茶園では、樹勢の回復と作業の効率化を狙った整枝や剪枝が行われ、大量の整剪枝残さが土壌に供給されている。これにより、温室効果ガスである大気中の二酸化炭素が土壌有機物として茶園土壌へ蓄積していると考えられる。その一方で、土壌への有機物の供給源である茶樹群落の動態については、未だ不明な点が多い。そこで本研究では、品種や管理方法の異なる茶樹を対象に抜倒調査を行い、そのバイオマスを評価するとともに、茶樹の形態とバイオマスの関係について解析した。また、茶園のPAI(植物面積指数)の季節変化をプラントキャノピーアナライザー(LAI-2000)を用いて測定した。調査はすべて、農研機構野菜茶研の場内圃場(静岡県島田市)で行った。
伐倒調査の結果、一番茶未摘採の圃場における地上部バイオマスは、品種の違いと考えられるばらつきがみられ2.6~3.6 kg/株であった。また、二番茶後に剪枝を実施した圃場では1.7 kg/株となったが、どちらも既報(堀内ら,2011)と同程度であった。また、地際からのびる着葉太枝の根元直径とその乾物重または樹冠面積の間に正の相関関係がみられた。このことから、茶樹についても相対成長式を用いてそのバイオマスを推定できると考えられる。
茶園のPAIを二番茶の始まる2015年5月下旬~2016年2月にLAI-2000を用いて測定したところ、PAIは4~10 m2 m-2の間で変動した。また、剪枝にともなうPAIの減少は実測値とよく一致した。
以上の結果より、茶園における茶樹のバイオマスは、整剪枝などの圃場管理にともない大きく変動した。また、茶樹または圃場スケールでの形態の変化から茶樹バイオマスの変化を推定できる可能性が示された。