| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-467 (Poster presentation)

どのような森林で土壌・枯死木の炭素プールは大きくなるのか? -土壌インベントリデータの解析-

*大曽根陽子(森林総研),南光一樹(森林総研),鵜川信(鹿児島大)田中永晴(森林総研),三浦覚(森林総研),大貫靖浩(森林総研),平井敬三 (森林総研),石塚成宏(森林総研),酒井佳美(森林総研),酒井寿夫(森林総研),今矢明宏(森林総研),橋本昌司(森林総研),金子真司(森林総研)

日本列島は南北に長く,起伏に富んでいるため,多様な森林を持つ。これらの森林はそれぞれ生態系の中で炭素(C)プールの役割を担っている。それでは,どのような森林でC蓄積量は大きくなるのだろうか。本研究では,2006-2010年に全国約2000地点においておこなわれた土壌インベントリ調査の結果より,森林Cプールの構成要素である土壌・リター・枯死木のC蓄積量と森林に関する17の変数(優占樹種,平均樹高,平均胸高直径,林冠木の樹高,林冠木の胸高直径,材積,林齢,立木密度,生活史,針葉/広葉,施業の有無,所有形態,気温,降水量,標高,傾斜,積雪深)の関係を解析した。まず,相互に相関のあるこれらの変数を縮約するため,主成分分析を行った。第1主成分は気温と林分成熟度,第2主成分は林分サイズに関する指標に集約され,この二成分によって日本の森林は大きく7群(北方針葉樹林,カラマツ林,マツ林,スギ-ヒノキ林,東日本落葉広葉樹林,西日本落葉広葉樹林,常緑広葉樹林タイプ)に分けられることがわかった。主成分回帰によって,枯死木のC蓄積量は,このうち林冠木の胸高直径が大きく,立木密度の低い成熟した森林(北方針葉樹林タイプ)で大きくなることがわかった。土壌のC蓄積量は林分構造に関わらず平均気温の低い森林で大きくなり(北方針葉樹林,東日本落葉広葉樹林タイプ),リターのC蓄積量は第1,第2主成分には特徴のないカラマツ林,マツ林で大きくなっていた。


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