| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-006 (Poster presentation)

CO2をより多く吸収するのは天然林か人工林か?

*郷原 雪枝, 加茂 優奈, 秋山 繁治 (ノートルダム清心学園清心女子高等学校)

現在、世界各国で地球温暖化対策が行われており、CO₂を吸収する森林の保全も解決策の1つとして注目されている。そこで森林による二酸化炭素吸収量は森林生態系の違いで変わるのか興味を持ち、本研究を行った。

調査地は岡山県北部のクヌギ人工林、沖縄の久米島のリュウキュウマツ天然林内とし、調査地に10m×10mのプロットをとり、それぞれのプロット内の樹木の樹高、胸高直径、樹齢を測定した。測定結果からCO₂吸収量を算出し、様々な森林生態系の調査結果との比較を行ったところ、クヌギ人工林と久米島の調査地内において、それぞれの個体の大きさとCO₂吸収量は比例していた。過去のデータとの比較から、天然林は林齢が大きくなるにつれてCO₂吸収量も大きくなっていたが、人工林は林齢に関わらずCO₂吸収量はあまり変わらなかった。天然林は人工林よりも樹種のばらつきや種の多様性があると考えられる。また、亜熱帯と温帯の森林の二酸化炭素吸収量に差はみられなかった。

本研究において、個体の大きさとCO₂吸収量には大きな関係があることがわかった。また、遷移段階の進んだ天然林が最も効率よくCO₂を吸収していたことから、天然林を保全していくことが重要であり、地球温暖化対策にもつながることが明らかになった。


日本生態学会