| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-008 (Poster presentation)
背景
ギンリョウソウは葉緑素をもたず光合成を行わない植物であるため,根に形成される外生菌根を利用して生長する.また,外生菌根を形成する外生菌根菌(以後,ECMと呼称)は樹木と共生関係を築く菌類である. ECM同士は菌糸でつながり,ギンリョウソウはECMを介して樹木から光合成産物を受け取って生活している.本研究の目的はギンリョウソウと外生菌根菌の関係性を解明することである.
調査方法
札幌市に位置する平岡公園を調査地とした.公園内に自生するギンリョウソウの直下とそこから60cm離れた地点,およびランダムにコントロールの土を採取した.
結果
合計27typeのECMが確認できた.
ギンリョウソウと関わっている菌根はtype9(ベニタケ属)であることがわかっているがtype9の出現頻度は全体的に低かった.
細分調査
土壌ブロックを9等分し,それぞれのブロックごとに菌根をカウントする細分調査を行った.
ギンリョウソウの真下にtype9が集中的に分布していた.
考察
出現頻度よりベニタケ属は絶対数が少ないと考えられるが,細分調査よりベニタケ属のECMはギンリョウソウから何らかの恩恵を受けていると考えられるため,ギンリョウソウとベニタケ属のECMとの関係は相利共生であると考えられた.