| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-022 (Poster presentation)
外来種カワリヌマエビ属は、西日本に生息するミナミヌマエビと朝鮮半島などに分布するシナヌマエビに分類されている。2000年前後から日本各地で採集されるようになり、埼玉県においても採集が記録された。私たちが川越周辺の河川のエビを採集して調査したところ、全ての川でカワリヌマエビ属の生息が確認できた。ミナミヌマエビとシナヌマエビは外観では区別しにくいが、額角と第一触角の長さによってその傾向をつかむと、新河岸川とその周辺の河川ではシナヌマエビとみられるエビの割合がミナミヌマエビよりも高かった。しかし、荒川からの水が流れ込む河川ではミナミヌマエビの割合が比較的高かった。新河岸川と荒川では侵入したカワリヌマエビ属に違いがあった可能性がある。
カワリヌマエビ属には20種以上もの同属の亜種があり、形態的特徴からその分類を容易におこなうことは困難である。そこで、各個体のmtDNAの塩基配列をどの亜種が新河岸川に侵入したかを調べる手段とした。また、外来種カワリヌマエビ属と在来種の成長過程を比較し、新河岸川における形態の季節変化を追うことで、ライフサイクルを推測し、外来種カワリヌマエビ属を排除する方策を見つけていきたい。