| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-026 (Poster presentation)

狭山丘陵の谷戸におけるアメリカザリガニの生活史

*長井 孝彦, *吉野 舜太郎, *川口 建, *吉岡 凛太郎, 関口 伸一 (海城中学高等学校生物部)

近年、外来生物のアメリカザリガニ(以下ザリガニ)の水田における在来生物や稲作への悪影響が懸念されている。しかし、ザリガニの生活史に関する研究は少ない。そこで、本研究はこれを明らかにすることを目的とした。今回は特に小さな個体の越冬の可否を調査し、小さい個体は越冬できないことを仮説とした。まず、季節別の齢構成を調べるためザリガニを捕獲し、頭胸甲の幅の長さを測定する野外調査を2013年春から2015年冬にかけ、東京都新宿区おとめ山公園と埼玉県所沢市北野の谷戸で行った。通年水温の高いおとめ山公園では小さな個体がほぼ一年を通して捕獲されたが北野の谷戸では秋には小さな個体が捕獲されたのに対し、春には大きな個体のみ捕獲された。また、温度別のザリガニの成長速度の違いを調べるため、孵化したザリガニを水温11~25℃の範囲の段階別温度で飼育する実験を行った。21℃と23℃で成長が最適となり11℃の個体は1カ月以内にほぼ全てが死滅した。このことから一年目の個体のうち、小さい個体は越冬が難しいことが考えられ、越冬できる個体が発生する時期を見越して駆除をすれば、より効率的に行うことができると考えられる。


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