| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-029 (Poster presentation)
ヨモギに虫えいを形成する日本のヨモギタマバエRhopalomyia属は現在14種類が知られているが,生活史に不明な部分がある。特にヨモギシロケフシタマバエの生活史については約半年の空白があり,この空白を虫えい形成の多型現象によるものであると仮説を立てた。本研究では, CO1に着目し,ヨモギの複数種類の虫えいについて,内部の幼虫や蛹の分子系統解析を行い,虫えい形成の多型現象を検証することを目的とした。CO1の部分配列を増幅するプライマーを独自に設計し,PCR増幅産物について600塩基の配列を決定した。ヨモギシロケフシタマバエ3個体,ヨモギヒメエボシタマバエ3個体,ヨモギハシロケタマフシに類似したヨモギクキオオシロケフシを茎に形成するタマバエ2個体,ヨモギクキコブタマバエ1個体の計4種9個体を解析した結果,ヨモギシロケフシタマバエは,ヨモギヒメエボシタマバエやヨモギクキコブタマバエとは異種で,ヨモギクキオオシロケフシの形成者とは同種であると考えられた。一部虫えいの多型現象を確認できたが,ヨモギシロケタマバエの生活史の空白を合理的に説明するためには,寄主転換の可能性を検証する必要があると考えられる。