| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-031 (Poster presentation)
ネオニコチノイド系殺虫剤は高い浸透移行性を有し、農薬散布に費やす労力を大幅に軽減できるために広く使用されてきた。しかし、近年は蜂群崩壊症候群の原因物質である可能性が指摘されるなど、生態系への強い影響が懸念されている。また、多くの水生昆虫が公定試験で用いられるオオミジンコ(Daphnia magna)よりも高い感受性を示すなど、生態リスク評価の方法的な問題も指摘されている。さらに、D. magna以外のミジンコ類に対する毒性研究も十分になされていない。本研究では、代表的なネオニコチノイド系殺虫剤であるイミダクロプリドを対象として、3種のミジンコ(D. magna、D. galeata、D. pulex)の個体群増殖への影響を調べた。その結果、D. magnaとD. galeataはD. pulexより感受性が高いことがわかった。次に、ミジンコ類が自然環境中で曝される餌不足とイミダクロプリドの複合影響を検証した結果、餌のクロレラ密度が高い処理区で死亡率が高くなった。これは、イミダクロプリドを取り込んだクロレラをミジンコが多く摂食してしまうことが原因と考えられる。さらに、水草が放出するアレロパシー物質との複合曝露実験も行った。この結果は現在解析中であるが、ポスターに掲載する予定である。