| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(口頭発表) C01-03  (Oral presentation)

小笠原(父島,母島)島外(沖縄本島)からの購入苗から検出された生物類

*大林隆司(東京都農林総合研究センター)

小笠原諸島は2011年に世界自然遺産に登録されたが,外来生物の持込みに対する検疫制度は無く,登録後も農業害虫を中心に新たな外来生物の記録が相次いでいる。農業関連苗の導入実態を把握するために,2014年,父島・母島の農業者26名に島外からの苗の導入に関するアンケート調査を実施した結果,半数が沖縄などからマンゴーなどを導入しており,今後もマンゴーなどの導入の意向が多いという結果が出た。そこで,実際に沖縄から苗を購入し,苗(土壌を含む)にどのような生物が付随しているか,実態を調査した。2015年8〜9月に沖縄県の2業者(A,Bとする)からマンゴー苗(2~3年生)を各10株,15株購入し,地上部(幹・枝・葉)に付着している生物を確認・回収後,鉢から苗を取り出し,土を少しずつ落としてバットに広げ,肉眼で確認できる生物(生体・死体)を確認・回収して同定した。その結果,9割以上の苗から生きた生物が検出され,そのうちの約9割が土壌部から検出された。検出個体数は業者Aではアリ類,陸産貝類などが多く,業者Bではアブラムシ類,アリ類,陸産貝類などが多かった。検出種には小笠原諸島未記録のマンゴーの害虫(アカアシホソバッタ,ハゼアブラムシ)などや,近年小笠原に侵入した害虫(ツヤオオズアリ,リュウキュウウスカワマイマイなど)が含まれていた。なお,業者A,B共,過去にニューギニアヤリガタリクウズムシの分布記録がある地域にあるが,今回の調査ではニューギニアヤリガタリクウズムシは検出されなかった。


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