| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(口頭発表) G02-09  (Oral presentation)

複数の菌根菌共生における資源配分の理論研究

*内之宮光紀(理化学研究所, iTHES)

 多くの陸上植物は、根に菌根菌と呼ばれる菌類を持つ。植物は菌根菌と共生することで、乾燥耐性の獲得やリンなどの土壌栄養の効率的な取り込みが可能になるなどの利益を得る。一方で、植物は光合成産物を菌根菌に渡しており、植物と菌根菌の共生は相利的な関係になっている。野外では、1個体の植物が複数の菌根菌と、1個体の菌根菌が複数の植物と関係を持つ菌根菌ネットワークが存在することが知られている。菌根菌ネットワークのように複数の植物と菌が相互作用を行うことは、植物の定着や群衆構造に影響を与えると考えられる。
 本研究では、複数の植物と菌が関わる最も単純な場合として、1個体の植物植物が複数の菌根菌と共生する場合を数理モデルを用いて考える。植物と菌は、それぞれ炭素とリンを取り込み、一部を相手に渡す。植物と菌は自身のもつ炭素とリンに応じてバイオマスが増加するとする。このとき、植物は獲得した光合成産物をどの様に分配するか、菌根菌それぞれからどれほどの土壌栄養を受け取るかについて議論する。また、植物と菌が1個体ずつの場合との比較も行う。


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