| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(口頭発表) H01-08 (Oral presentation)
三宅島の溶岩上では、タブノキからスダジイへの遷移が推測されている。その要因の一つとして両種の耐陰性の違いが考えられる。室内の暗所と低照度(40lx)下で、プランターに両種の種子を播種して (20個)、発芽した実生の生残実験を行った。暗所および40lx下で、いずれの場合もタブノキがスダジイよりも早く消失した。暗所ではタブノキ248日に対して、スダジイ314日であり、40lxではタブノキ232日に対して、スダジイ577日であった。また、種子(果実)の生重量から乾燥重量の推定を行い、推定種子重から茎、根、葉および子葉残滓を差し引いた値から暗呼吸量を求めた結果、タブノキの呼吸量が0.237(mg/g/h)で、スダジイの0.175(mg/g/h)よりも高かった。このことから、タブノキ林内において、タブノキ実生よりもスダジイ実生の生残率が高く、このような低照度下における耐陰性の差異が、タブノキ林からスダジイ林へと遷移が進行する大きな要因の一つであると結論しうる。