| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(口頭発表) I02-08 (Oral presentation)
生態学にもビッグデータの波が広がっている。エレクトロニクスデバイス、ネットワークの進展などによって観測・測定、記録、保存、そして共有化が大きく進歩した。またオープンデータ化、オープンアクセス化が進んでおり、国内・国際のモニタリングデータの共有枠組みと関連プロジェクトも大きな進展を見ている。しかしその利用については機械学習に代表されるようなデータマイニングが主流であり、よりsophisticateされた手法開発は途上と言える。データの内容や特徴の記載にはDarwin CoreやEcological Metadata Languageのような規格を使うことが出来る。この機械可読性を利用したモデルが存在すれば、ネット上の利用可能なデータベースを検索して接続したり、異なる分野間(例えば生態系モデルと水文モデル)の接続が自動的に行うことが出来る。この自動化の恩恵は、例えば、非専門家にも比較的容易に可能とする仕組みを提供することになる。
著者らはこのようなモデリング環境を目指すべく、オントロジーを用いたモデル統合利用環境 k.LAB(version 0.9.10)を使用して、これまで行ってきた広域生態系サービス評価を初心者でも使いやすいように自動化した。具体的には土地利用、生態系サービスの概念などをk.LAB言語を使用して関連オントロジーを作成した。評価手法も k.LAB上で同様にコード化した。
国内データは国土数値情報に代表されるように種類が多く整えられているが、まだオープンな規格によるデータ接続が可能となっていない。今後、整備が進むものと考えられ、本研究で提示したフレームワークはそれらを有効に活用する例と考えられるだろう。