| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(口頭発表) I02-09 (Oral presentation)
文部科学省では,国民一人一人がその生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を目指している(H27文部科学白書)。演者は、環境保全を仕事とする技術者を育成する教育に携わりながら、川の生きもの観察会等で地域住民の学習機会に関わってきた。
川の生きもの親子観察会は、「水生昆虫を主とした大型底生無脊椎動物の採集を行い、分類・同定、指標生物による水質評価等を行う。この中で、形態、生態、環境との関わりなどについて解説し、最後に参加者からアンケートをとる。」というような内容である。主催者や講師は、アンケートの「楽しかった」「また参加してみたい」等の結果をみて良かった良かったで終わるわけである。参加者は、生物の名前を覚えることや水質評価を行うことに熱心になり、主催者は調査データを蓄積することに期待してしまうことが多々ある。私は、生物そのもの生活や環境との関わりについて理解するきっかけになってくれることを期待しているのだが、これがどれほど伝わっているのか気にかかる。
演者が行っている親子観察会(主に小学生と保護者)は、おおむね次の通りである。準備は、現場を下見して生物相を大まかに把握し、プログラム、テキストの作成及び道具を用意する。当日の主な流れは、「(1)プログラム等の説明を行う。(2)採集方法を実践して見せる。(3)参加者が採集する。(4)採集した生物を観察する。(5)生物をスケッチして、好きな名前を付ける。(6)皆の前で発表する。」というものである。最近実施した、横浜市・大岡川、東京都・石神井川、佐野市・秋山川における事例を紹介する。