| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨 ESJ64 Abstract |
一般講演(口頭発表) J01-01 (Oral presentation)
環境DNA分析は、生物の検出にDNA情報を利用することから、見た目では区別のつきにくい同種内の遺伝子型や隠蔽種の検出にとりわけ有効であると考えられる。そこで、同種の外来遺伝子型の侵入を受け、交雑による遺伝的な絶滅の危機に瀕する日本のコイ(Cyprinus carpio)個体群をモデルとし、個体群の遺伝子プールにおける在来/外来遺伝子型頻度を迅速に推定する環境DNA手法の開発を試みた。
従来の環境DNA分析では、希薄な環境DNAサンプルからターゲットDNAを効率よく検出するため、細胞あたりのコピー数の多いミトコンドリアDNAを標的とすることが多かった。しかし、母系遺伝をするミトコンドリアDNAからは、在来/外来遺伝子型頻度を正しく評価できない可能性がある。したがって、核DNAマーカーを用いた在来/外来遺伝子型頻度の推定が望まれるが、多くの核遺伝子はシングルコピーであるため、その検出はミトコンドリアDNAに比べて非常に困難である。本研究では、環境DNAからシングルコピー核遺伝子を検出する方法と、核DNA上のSNPマーカーを用いて在来/外来遺伝子型頻度を定量的に解析する環境DNA手法の検討を行ったので、その結果を報告する。